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『MUGEN』(ムゲン)は、1999年10月20日に発売されたサニーデイ・サービス通算6作目のスタジオ・アルバム。 == 解説 == 全16曲、計82分という、混沌を未整理のまま作品化したような前作『24時』〔『24時』 1998年7月15日発売 MIDI CD:MDCL-1332〕から一転、端正な作品が整然と収められたアルバムとなった。曽我部恵一は後年、このアルバムについて「『24時』〔の反動もあって、まともなアルバムを作っておこうとしたのが『MUGEN』。ポップ・アルバムの大名盤を作ろうっていう意識はあったとは思うんだけど、俺の中ではちょっと落ちるかな」「でも、やっぱり『東京』〔『東京』 1996年2月21日発売 RHYME ⁄ MIDI CD:MDCL-1303〕が持ってる何かはちょっとないかな。…まぁでもがんばってるかな。評価はできる。そんな中で<スロウライダー>ができたのは良かったよね。これは『東京』〔の頃には作れなかった曲だから。それが入ってるのはすごくいいと思うけどね。<江ノ島>とか<サイン・オン>とかもいいし。最大限のことはやってるよね」「<夢見るようなくちびるに>には、“なんとかバンドを存続させよう”とか、“サニーデイ像をまとめよう”っていう意識があったのかなって思う」〔『splash!!』volume 03(双葉社)pp.172-175、2010年5月23日発行〕と振り返っている。 『24時』〔を経て、今作が原点回帰という捉えられ方をされることが多かったことについては「そうですけど、この頃はけっこうしんどかったな。バンドという形をキープせざるを得ない状況の中で、実は自分が向いてる方向が違うわけですよ。楽しくレコーディングしてたし遊んでたんだけど、思いっきりって感じじゃないですね。実際3人のコミュニケーションも減ってきたし」「『MUGEN』は僕らに期待されているようなちょっとサイケデリックでフォーキーな、蒼くて文学的な感じのポップス。この頃は僕がやりたいことがすごく増えてて、それをバンドの中でどういう風に消化しようっていうのを、すごく悩んでましたね。自分の理想のバンド像っていうのがいくつかあって、それはメンバー・チェンジをしないとか、完全な打ち込みはしないっていうような枠組みがいくつかあって、その中で作るのが難しかったですね。このアルバムでは日本的なアンビエントというか、シンセのシークエンスの上に金魚売りの風景音みたいなのが通り過ぎていくような長いタイトル曲も作ったんだけど、それは入らなかったから、相当迷っていた」〔『ミュージック・マガジン』2007 2月号(ミュージック・マガジン)pp.22-26、2007年2月1日発行〕と、曽我部自身のイメージする音楽がバンドの中で消化し切れない状況が増してきたという。 レコーディングについては「凄いしんどかったけどね、ほんっとに。スタッフとかも凄い引き気味で。スケジュールも最初は2か月くらいスタジオを取ってたんだけどね、延び延びで、終わったと思ったらまた一からもう一回とかさ。メンバーとか完全に引いてんの。もう俺“あ、引いてんな”って途中でわかってて。“みんな人間じゃないんだから”みたいな感じで扱っちゃってたし。で、自分も奴隷みたいなさ、そういう感じで作ってたから結構キツかった。でもそういう風にしないと出来ないと思ってたしね。まぁ“家に帰って2時間寝てまた来い!”とか言ってんのが完全に非人道的な感じだなっていうのは途中からわかってたけどね。もうやり方が無茶苦茶だもん。明け方ぐらいにパーカッションの人とか外部のミュージシャンを突然呼んだり」「2日目ぐらいに“できなかったら他の人が叩くこともあるだろうし、そんなの全然関係ないから”って丸山(晴茂)君とかに言った。でも結局、丸山君が全部叩いてさ。1曲2人で叩いてるやつもあるけど、だから頑張ったよね」「だからみんなこんだけの事やったんだけど、非人道的だからさ、達成感っていうか、充実感は誰もないの。結構ギクシャクしちゃって。やっぱそこに喜びがないって感じ。でも“喜びなんてそこに求めなくていいんだ”と思って。情の部分がないんだもん。“丸山君っぽいからOK”とか“歌はハズれてるけど、曽我部っぽいし味あるからOK”とかそういうのが全然ない。で、俺も“じゃあ完成形がお前の頭の中で見えてんのか?”って言われたら見えてない。最悪な泥沼」〔『ROCKIN'ON JAPAN』NOVEMBER 1996 VOL.177(ロッキング・オン)pp.128-137、1999年11月16日発行〕だったという。 コンセプトについては「コンセプトはあまりないですね。だからジャンルとかもなくて、年代もわからない不明なアルバムにしたかったんですよね」という。アルバム・タイトルも「それも今の言葉なのか、過去なのか未来なのかわからないのかもしれないですね。どこにも収まらないという」「まあノン・ジャンルではないんですけどね。ミクスチャーでもないっていう、微妙な感じで。だから結局、未来っていうことなのかな。未来だと“MUGEN”は普通のことかもしれないですからね。わからないけど」「漠然としていて強いイメージがあるというか」とし、サウンド的にも昔でも今でもないような音にしたいということで「スライ&ザ・ファミリー・ストーンとか、ああいうボコボコした音質にしたかった」〔『スコア・ブック サニーデイ・サービス MUGEN』(リットー・ミュージック)1999年12月20日発行 ISBN 4-8456-0454-X〕と答えている。 アルバムのレコーディングは当時彼らがメインで使用していた世田谷区深沢のスタジオ“サウンド・アライブ”で行われたが、「空飛ぶサーカス」と「スロウライダー」、「江ノ島」の3曲は違うスタジオでレコーディングされたため、そこの機材でやると音がかなり変わってしまうような気がして、他の曲の感じがわかっている自分でやったほうがいいだろうということで曽我部自身がミックスを手がけている。 「夢見るようなくちびるに」の後に収録されたオルゴールは彼らの曲「東京」で、ファンの女性が自分で作ったオルゴールを録音したテープの音。また、「恋はいつも」と「スロウライダー」は後にベスト・アルバム『Best Sky』〔『Best Sky』 CD:2001年5月23日発売 MIDI MDCL-1407, 2LP:2001年6月25日発売 CXLP-1039/40〕に収録された。 初回盤は三方背ボックス入りのデジパック仕様。見開きに描かれたハートの絵は最初、デザイナーが描いたがそれを見た曽我部が「愛が伝わってない!」と言って、自身で描いたものが使われた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「MUGEN (サニーデイ・サービスのアルバム)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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